3時間目② 自己嫌悪のシュガードーナツ
先生は言った。 「なるほど、その彼は『選ばない』ことを選んでいるんですね。」 「どういうことですか、先生?」 先生は、湯気の立ったコーヒーを一口すすってから、言葉を続けた。 「わたしにはね、自称作家の彼は『書く』というこ…
迷いながらも一歩前へと踏み出すために
先生は言った。 「なるほど、その彼は『選ばない』ことを選んでいるんですね。」 「どういうことですか、先生?」 先生は、湯気の立ったコーヒーを一口すすってから、言葉を続けた。 「わたしにはね、自称作家の彼は『書く』というこ…
先生は言った。 「なるほど、その彼は『選ばない』ことを選んでいるんですね。」 半年ぶりに先生のドーナツ屋に行った。もしかしたら、もう先生はいないかも、と思ったけれど、先生はやっぱりそこにいた。 最初にここで会った時のよう…
「チェシャ・ネコさん・・・ ここからどの道をゆけばよいのか、教えてはいただけません?」 「そりゃ、まったくあんたのゆきたい方角次第だよ」とネコは言いました。 「わたし、とくべつどこへと言うことも——…
数日後。会社の帰り、わたしは再び先生のいるドーナツ屋へと向かった。 「先生、こんばんは。」 「ああ、こんばんは、アヤネさん。おや、どうしました? あまり元気がないように見えますが。」 「そう、見えますか。」 「お仕事お忙…
大きな街の小さな路地にある一軒のドーナツ屋。 12年ぶりに「先生」に再会した。 わたしは綾小路アヤネ。30歳。OL。 12年前、先生の担当する「倫理」の授業を受けていた高校生のわたしも、 今では30代に突入してしまった。…